臨床試験(治験)とは?
現代社会において、人々の健康を守るため、あるいは、病気を治すためにお薬はなくてはならないものになっています。そこで、より有効で安全な(副作用の少ない)お薬を開発するために、世界中の研究者や医師が日夜努力をしています。
私たちが普段何気なく飲んでいるお薬は、その発見から市販されるまでに実に10年から20年の長い年月を経て、詳しく安全性や有効性が調査されます。その過程の中で、人に対する安全性や有効性を調べることを臨床試験(治験)といいます。
以下にお薬の開発過程を図で示します。
基礎研究
(非臨床薬理)
- 新規物質の発見
- 薬としての可能性の調査
- 動物による安全性の調査
臨床試験
(治験)
-
人に対する安全性の調査と薬としての作用を調査
- 第1相試験
- 少数の健康な人(希望者)の同意を得て、薬としての安全性と体への吸収、体からの排出などを調査します。
- 第2相試験
- 同意が得られた少数の患者さんを対象に、安全性と有効性を調査します。同時に使用方法や投与量に関しても調べます。
- 第3相試験
- 同意が得られた多くの患者さんを対象に、薬としての有効性を調査する最終的な試験です。
国からの承認
- 厚生労働省での審査
- 厚生労働省が薬として承認
後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは?
病院や診療所などで処方されているお薬には、いわゆる『新薬』と『後発(ジェネリック)医薬品』があります。
『新薬』の開発には、上記のように10年から20年という長い年月と、研究・開発のために大きなコストがかかるため、お薬の値段が高くなるのが一般的です。 一方『新薬』の特許が切れた後に、そのお薬と全く同じ物質で同等の効果を持ち、かつ厚生労働省の承認を受けて発売されるのが『後発(ジェネリック)医薬品』です。
『後発(ジェネリック)医薬品』は、研究・開発コストが大幅に削減できるために、薬の値段が非常に安くなります。
このことは、今後少子高齢化社会を迎える我が国において、医療費の削減に寄与することになり、大きな社会貢献になります。
GCP(Good Clinical Practice)とは?
臨床試験は、人を対象にしていますので、試験に参加されている方の安全性と権利を守らなければなりません。
さらに、試験薬の安全性や有効性は科学的にかつ客観的に調査されなければなりません。
そのため、臨床試験は国際的に認められた厳格な方法で行われます。
これは
『医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令』(GCP)と呼ばれ国の法律(薬事法)に基づいたものです。
GCPは、以下の事柄などを定めています。
- プライバシー保護
- 自由意思での参加
- 臨床試験(治験)審査委員会の設置
※臨床試験審査委員会は、試験に参加する方々の権利や安全性を保護する立場から、科学者、医療の専門家、法律の専門家などを加えたメンバーで構成される、人権を保護するための倫理委員会です。
- 臨床試験を行う施設は、臨床検査を迅速に行える設備が整っていること
- 緊急時にすばやく対応できる医師や、看護師などのスタッフが揃っていること
※緊急時には臨床薬理センター専属の医師や看護師に加えて、にしくまもと病院のスタッフも万全の体制でサポートします。
以上のように、臨床試験は、試験に参加する方の人権を最大限に尊重して実施されます。
にしくまもと病院臨床薬理センターは、『後発(ジェネリック)医薬品』の承認を得るための臨床試験(生物学的同等性試験)を行うことを第一の目的とし、第二に新薬の第1相試験を行うことを目的として設立されました。
創薬ボランティアにご協力ください
臨床試験(治験)を実施するためには、多くのボランティア(ここでは、お薬を生み出すためのボランティアですので、“創薬ボランティア”と呼びます)のご協力が不可欠です。
にしくまもと病院臨床薬理センターは以下のことを目的として臨床試験を行います。
- 『医療費削減を目指し、後発医薬品の同等性を確認する』
- 『病気で苦しんでいる人のために、新規のお薬を開発する』
- 『次世代のために、副作用の少ない、より安全で有効なお薬を作り出す』
お薬を生み出すためのボランティア⇒創薬ボランティアは、献血や骨髄バンクと同じようなボランティア精神による行為です。
多くの皆様のご理解とご協力をお願いいたします。